【繭糸束に関係する素材について】
(1)篠生糸 昭和19年鐘ヶ淵紡績新町工場(後の鐘紡)が開発した無抱合、無撚り
のセリシン付き繭糸の束で、これを速度の異なるローラーに挟んで、短
繊維化し、絹紡糸の原料とした。
(2)シルクトウ シルクトウとは、1500~2000粒の繭を一斉に緒を揃えて繰糸し
た無抱合、無撚りで分繊したセリシン付きの繭糸束のことを言う。こ
れは、1992年頃、蚕糸、昆虫農業技術研究所が篠生糸の技術を改良した
もので、「シルクトウ」と命名され、絹紡糸や布団の原料とされた。
(3)シルクフィル 2011年農業生物資源研究所が開発したシルク綿である。シルク
フィルの製造方法は、大量の繭から一斉に繭糸を引きだし、引き出した繭
糸を濡れた状態のまま大枠に巻き取り、乾燥させる。その後精錬して、
不要成分のセリシンを溶かし、フィブロイン繊維だけにして乾燥、ほぐ
して綿上にしたものである。
【碓氷製糸の繭糸束製造】
碓氷製糸では、シルクフィルの原料となる繭糸束を「シルク筒」として、製造・販売しています。その製造方法を動画で紹介します。
【繭糸束と精錬】
フィブロインを化粧品原料とする場合、繭糸からセリシンを落とす精錬が必要となります。精錬する場合、素材によって次のような違いがあります。
(1)繭を精錬する場合 繭を切って内部をきれいにしその後に精錬します。精練
剤が繭層の中まで浸透しにくいので、最低2回の精錬が必
要となります。
(2)生糸を精錬する場合 生糸は抱合(繭糸同士がしっかり固着している)が良い
ので、1回の精錬ではきれいにセリシンが落ちない場合が
あります。
(3)繭糸束を精錬する場合 繭糸束は一回の精錬で、セリシンを完全に除去できるの
で、ピュアなフィブロインが抽出できます。
【繭糸束の製造方法】
繭糸束の基本的な製造方法は、次のビデオのとおりです。
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