2021年10月27日水曜日

繭糸繊度が異なる蚕品種の繭糸及び織物特性

  蚕品種により、繭糸長や繭糸繊度が異なることは前回説明したとおりです。今回は、繭糸繊度の違いが織物にどのような影響を与えるのか、また繭糸繊度がどのような粒内繊度曲線を示すのか、紹介します。ぐんま200の繭糸繊度は約3.0デニール、蚕太の繭糸繊度は約4.5デニール、ぐんま細の繭糸繊度は約2.2デニールです。この三品種を比較してみました                                                (平成22年度群馬県蚕糸技術センターの研究成果発表会資料より)

【織物の性能評価】                                                        蚕品種別の織物の性能評価は下表のとおりです。破断点強度については、ぐんま細はぐんま200より強度物性が大きく、蚕太は小さいことが確認されました。剛軟性については、ぐんま細はぐんま200より柔らかい織物となります。防しわ率についてはほとんど差がありません。KESによる測定結果として、ぐんま細はぐんま200より曲げ柔らかいことが確認されました。

【粒内繊度曲線】                                  蚕品種別の粒内繊度曲線は、下のグラフのとおりです。蚕太は外層から200~350mの繭糸長で最も太い4.6デニールで、最後は2デニールくらいになります。ぐんま200は、外層部から100m付近で3.2デニールに、その後緩やかに細くなります。ぐんま細は、外層部から緩やかに太くなり、550m付近で2.4デニールとなり、その後緩やかに細くなっています。繊度ムラの少ない生糸を作るためには、繭糸が細く、長く、粒内繊度差が少ないことが大切です。


2021年10月26日火曜日

蚕品種別の繭糸長、繭糸繊度、小節について

  養蚕農家にとっては、繭が大きく、病気に強くて飼育しやすい蚕品種が望まれています。

 機屋さんは、繊度ムラの少ない生糸、つまり繭糸長が長く、繭糸繊度が細く、粒内繊度差の少ない繭から生産された生糸を求めています。

 群馬県蚕糸技術センターでは、県が育成したオリジナル蚕品種(8品種)+対照品種(春嶺鐘月)の性状調査を定期的に行っています。その結果については下表(春蚕期調査)のとおりです。

 9品種で、一番繭糸繊度が細いのが「ぐんま細」の2.2デニール、最も太いのが「蚕太」の4.48デニール、繭糸長の最も長いのが「世紀二一」、「ぐんま細」の1,620m、最も短いのが「蚕太」の648mです。小節点については、「世紀二一」が96点で最も高く、「蚕太」が92.5で最も低くなっています。

 生糸を扱う場合の参考ににしていただければ幸いです。



蚕品種別性状調査結果(平成21年春蚕期調査)