2023年5月20日土曜日

春蚕の配蚕

 令和5年5月18日 3令3日目の蚕が稚蚕共同飼育所から養蚕農家へ配蚕になりました。8品種の蚕を飼育しましたが、経過の良く揃っている蚕が配蚕となりました。

配蚕の手順については次のとおりです。 ①コンテナに入る大きさに蚕座面積を調整する。 ②蚕を傷つけないよう蚕座紙を折りたたんで、コンテナに入れる。③温度調整のできる自動車で搬送する。 輸送の限界時間については、3~4時間程度とされており、それ以上遠方に搬送する場合には、輸送試験が必要です。

配蚕された蚕の取り扱いについては次のとおりです。①25度くらいの温度に調整された飼育室に蚕を運び込む。②飼育密度を低くするため、2枚の蚕箔に分泊する(1枚の蚕箔で7,500頭飼育)。③蚕と人工飼料を分けるため、糸網を掛ける(人工飼料を早期に取り除くため)。④初めて与える桑なので、少し柔らかめの桑を大きめに刻んで与える。

群馬県が監修している飼育標準表には、温度、湿度、蚕座面積、給餌量(給桑量)、作業時間、作業内容などが事細かに記載されていますが、蚕の飼育技術は、蚕の経過を揃えるための技術と言っても過言ではないと思います。蚕の経過が揃っているということは ①飼育・上蔟作業が省力化される ②大きさの揃っている繭を生産することができる ③繭の大きさが同じなので、繭糸繊度のバラツキも少なく、高品質な生糸が生産出来る ということになります。

蚕の経過を揃える最大のポイントは、各令の餉食(桑付け)のタイミングです。
桑付けが早すぎれば経過が不揃いになるし、遅すぎれば体力が消耗します。稚蚕共同飼育所では、蚕の経過を丁寧に観察し、食欲のでた起蚕が98%位の状態で各令の餉食作業を行っています。

稚蚕共同飼育所での餉食作業及び配蚕と農家での取り扱いについては、動画でご覧下さい。

2023年5月8日月曜日

令和5年春蚕の掃立が行われました


 令和5年5月8日(日)群馬県内の大規模飼育所で春蚕の掃立が行われました。

掃立られた蚕品種は、群馬オリジナル蚕品種の「ぐんま細」、「ぐんま200」、「新小石丸」、「ぐんま黄金」。蚕糸科学技術研究所が育成した「プラチナボーイ」、「おりひめ」。一般蚕品種の春嶺×鐘月(カネボウが育成)、小石丸(原種)の8品種です。

掃立数量は約160箱(1箱:30,000頭)で、栃木県、茨城県、埼玉県からの委託飼育も行っています。

飼料は、群馬県が開発・製造している「くわのはな」という人工飼料を使っています。人工飼料を使うメリットとしては、①稚蚕飼育作業の手間が桑育に比べ1/10ですむこと ②細菌やウイルスが飼育室に持ち込まれないため、蚕が病気にかかりづらいこと ③除沙を行わないため遺失蚕が少ないこと ④蚕の経過がとても良く揃うことなどです。

掃立作業の手順としては、①催青台紙と覆紙を並べます ②1枚の台紙には15,000頭の蚕が入っているので、約400gの人工飼料を与えます ③蚕座周辺の人工飼料を掃き込み、蚕座を整えます ④飼料をもらった蚕は、30度 90%に調整された飼育室で暗飼育されます。

稚蚕共同飼育所では1~3令の飼育が行われ、5月18日(木)に農家に配蚕されます。

掃立の状況については、動画でご覧下さい。