平成5年頃よりニット製造業者がシルクを使ったニット製品の開発を始めましたが、普通蚕品種から生産された生糸にはシャリ感がなく、太繊度蚕品種「ありあけ」は既存の回転蔟が使えないなどの欠点があり、普及しませんでした。
このような状況下、群馬県蚕糸技術センターでは、繭糸繊度4デニール以上を目標とし、回転蔟にも適応出来るよう繭をあまり大きくしないことを考慮し、日本種4系統、中国種3系統により育成を始めました。各種の組み合わせの結果、化蛹歩合、繭の揃い、繭の大きさ等を併せて検討した結果、平成12年に日日交雑のFGN1×N510の組み合わせが選定されました。
育成された太繊度蚕品種の性状は、飼育日数は全令で約2日長く、化蛹歩合は若干低くなるが、収繭量に大差はありません。生糸量歩合は低く、繭糸長は短いのですが、繭糸繊度は5デニールと太く、太繊度蚕品種の特徴を示しました。幼虫の斑紋は限性形質を示し、メスは形蚕、オスは姫蚕となる。繭は浅縊れ俵型で、ちぢらは普通、大きさは普通蚕品種よりやや小さいので、従来の回転蔟が利用出来ます。
このように育成された太繊度蚕品種は「蚕太」と命名され、平成13年より農家飼育が始まりました。生産された生糸はシルクニット業者に供給され、生糸特有の光沢をもち、柞蚕糸なみのシャリ感あるシルクニット製品が開発されました。
しかし、「蚕太」を飼育する農家からは、①日日交雑なので、チョット病気に弱く、飼育しづらい。②飼育日数が長い。③上蔟時、蚕が網の上に上がらず、上蔟の手間がかかりすぎる。などの理由から、平成22年農家での飼育は終了しました。
0 件のコメント:
コメントを投稿