2023年7月13日木曜日

赤城の座繰り糸

 群馬県は昔から養蚕が盛んで、赤城山の広い裾野及び周辺地域には緑豊かな桑畑と多くの養蚕農家があり、とれた繭を鉄鍋で煮て上州座繰り器で糸を挽きだし、伊勢崎や桐生の織物の原料として供給してきました。

この糸は、玉繭や中繭(外部汚染繭、内部汚染繭、出殻繭など)を原料に挽いており、赤城の節糸、赤城のぼろ糸、赤城の黒糸などと揶揄されてきましたが、空気を含み、弾力があり、軽いこの座繰り糸は、「糸は黒いが味が良い」などといわれ、染織作家を中心に高い評価を得ています。

かつては数千人の挽き手がいたと言われていますが、現在は繭糸商の石田さんが養成した若い挽き手のみとなってしまいました。

赤城の座繰り生糸が、国や県から補助金をもらうこともなく、奇跡的に残っているのは、この地域が養蚕が盛んだったことと、座繰り糸を専門に扱う繭糸商の存在が大きいと思います。

繭糸商は、目的とする赤城の座繰り生糸を作るため、挽き手の技術に応じたブレンド繭をおばあちゃん達に預け、糸にしてもらい、加工賃を支払い(いわゆる賃挽き)、産地や作家に販売してきました。

ほそぼそと引き継がれてきた赤城の座繰り製糸の技について、これから数回にわたって紹介していきたいと思います。








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