2020年9月2日水曜日

お蚕さまの品種(7)ぐんま細

 しなやかで光沢のある絹織物を作るための蚕品種として育成されたのが「ぐんま細」です。

 群馬オリジナル蚕品種には、①世紀二一 ②ぐんま200 ③新小石丸 ④ぐんま黄金 ⑤新青白 ⑥蚕太 ⑦上州絹星 ⑧ぐんま細 ⑨なつこ の9品種がありますが、「ぐんま細」は繭糸繊度2.2デニールと最も細い蚕品種です。

 「ぐんま細」は、群馬県蚕糸技術センターが細繊度蚕品種として育成してきた日本種の「N7NONF」に、「世紀二一」の原種で中国種の「二」を交配した品種です。平成25年9月に、群馬県、養蚕農家、製糸業者、織物業者等で構成されるぐんまシルク認定委員会において「ぐんま細」として認定されました。

【ぐんま細の蚕と繭の特徴】

○4令、5令の飼育日数は、「ぐんま200」とほとんど変わりません。
○ぐんま細の食下量は、「ぐんま200」の90%程度です。
○幼虫はやや小さく、繭も小ぶりなため、収繭量は普通蚕品種の8~9割程度です。
○蚕の発育経過の揃いも良く、虫質も強健で、ぐんま200同様飼育しやすい品種です。
ぐんま細(上)とぐんま200(下)の繭


【ぐんま細の糸の特徴】

○生糸量歩合は、普通蚕品種より1~2%高くなります。
○繭糸繊度は、2.2デニール内外と細く、繭糸長は1500m以上です
○繭糸の最も太いところと、細いところの差(繊度間差)が少なく、繊度ムラの少ない生糸を作ることができます。
○生糸は、破断強度が大きく、丈夫です。
○生糸の白度はぐんま200と同程度、染色性もよく、風合いの良い生糸になります。

蚕品種別粒内繊度の比較


ぐんま細とぐんま200の糸を比較する表のとおりです

【ぐんま細の生糸の評価】
(沖縄の染織作家) ぐんま細の生糸は非常に白く、絹らしい艶、のび、手触り、ぬめり感がとても良い。
(福島機屋) 国産生糸のメリットは、生糸の白度と、手機で織り上げたときの風合いに素晴らしい特徴を発揮する。
(丹後の機屋) 節が少なく製織作業はしやすい。染色性も良い。また、ぐんま細は、普通の織物より柔らかく、しなやかで、風合いの良い生地になった。

 ぐんま細の繭からは、繊度ムラや節の極めて少ない生糸が生産されます。一押しの繭・生糸ですので是非使ってみてください。

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