2020年7月6日月曜日

お蚕さまの品種(2)小石丸由来の品種

小石丸由来の蚕品種としては、新小石丸、改良小石丸、玉小石の3種類があります。
【新小石丸】
 平成8年群馬県蚕業試験場(現群馬県蚕糸技術センター)が育成した蚕品種です。絹業者から「小石丸を製品化出来ないか」との要望を受け、小石丸の性状をそのままに、自動繰糸機にも対応出来る品種として育成しました。これは、在来種の小石丸と群馬県が育成した世・紀×二・一の「二・一」を交配した品種で、繭は俵型をしており、春蚕期の繭糸繊度は2.5d内外、繭糸長930m内外、生糸量歩合は15~16%と少なめですが、光沢のある優良生糸が得られ、生糸は太さにムラがなく、高級和装用として使われています。

【改良小石丸】
 平成15年に大日本蚕糸会蚕業技術研究所で育成された蚕品種です。蚕業技術研究所では小石丸の選抜育種を行い、これを「TKO系統」として維持しています。このTKO系統に研究所が保有している繭糸が細い中国種系統の「TC54」を交配し、量的形質を向上させた蚕品種「TKO×TC54」を育成しました。これを栃木県が採用し、「改良小石丸」と名付けています。繭はくびれの浅い俵型で、生糸量歩合約15%、春蚕の繭糸繊度2.4d内外、繭糸長960m内外で、選繭の徹底、低速繰糸により蚕品種の特長を活かした生糸を生産しています。

【玉小石】
 国内には玉糸を使った伝統的な織物がありますが、国内繭生産量の減少により玉繭(2頭以上の蚕が作った1個の繭)の入手が難しくなりました。蚕業技術研究所では平成16年玉繭を作る新たな品種の育成に着手しました。玉繭品種の育成にあたっては、糸質が優れていて、ブランド力があることから「小石丸」による育成を行いました。まず小石丸から玉繭を作りやすい系統を選抜します(A系統)。糸量を増やす目的で他の品種を交配させ、小石丸を戻し交配します(B系統)。このA系統とB系統を交配した品種が「玉小石」です。玉繭を作らせるために上蔟には万年蔟を用います。ちなみに玉小石の玉繭産率は35%内外です。

小石丸と新小石丸の比較
シルクレポート28号より転載


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