GMカイコすなわち「遺伝子組換えカイコ」とは、遺伝子の組換え技術により、カイコに他の生物の遺伝子を組み込んだカイコのことを言います。
カイコは家畜化された昆虫で、「逃げない、飛べない、人間に危害を加えない」等の特性を持っています。また、カイコは、繭糸の成分の97%はタンパク質で、約1ヶ月という短期間に大量のタンパク質を合成する力を持っています。
遺伝子組換えカイコは、平成12年当時の蚕糸・昆虫農業技術研究所で、世界で初めて作出することに成功しました。世界最高の遺伝資源や研究蓄積を持つ日本ならではの大きな研究成果です。
遺伝子組換え研究の目指すところは、日本が得意とするカイコの研究蓄積を活かし、世界に先駆けた有用物質生産や高機能シルクの研究開発により、養蚕農家の所得向上と地域の新たな産業振興や雇用創出に貢献出来る「蚕業革命」を起こすことです。
具体的な事例として、オワンクラゲの遺伝子を組み込んだ緑色蛍光シルク、高染色性極細シルク、クモの遺伝子を組み込んだくも糸シルク、再生医療用の細胞接着シルクなどがあり、緑色蛍光シルクについては平成29年から、高染色性極細シルクについては令和3年から群馬県内の養蚕農家で大量飼育が始まりました。
カイコを使った有用物質生産としては、コラーゲンなどの化粧品素材、検査薬や診断薬、さらには医薬品等の有用物質を生産する研究が進められており、その成果として平成22年度から検査役用のタンパク質生産、平成28年度からは化粧品用のコラーゲンを生産する遺伝子組換えカイコの実用飼育が稚蚕共同飼育所の施設を使って行われています。
これらの取り組みを一層推進するため、令和元年9月17日には、国レベルで「シルクビジネス協議会」が立ち上がり、用途開発について検討されています。
これから、数回にわたり「遺伝子組換えカイコ」について紹介していきます。
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